最近の3つ(くらい) 本山ゆかり

Yutaka Kikutake Galleryのアーティストたちに近況の報告日記をお願いしました。
読んだ本、聞いた音楽、美味しかった食べ物、そして、作品制作のこと。それぞれ多くて3つくらい、ご紹介します。
第一回目は本山ゆかりさんです。

制作アトリエの壁

最近読んだ本

今年に入ってから、ひと月三冊は読むように心がけ始めました。

川端康成・三島由紀夫 往復書簡』 川端康成、三島由紀夫

頷けるところ・笑えるところ・微笑ましいところが多々あり、とても好きでした。時代の空気もかなりひしひし感じます。でもこういう手記手紙系って読むのにちょっと罪悪感あります。

かたちは思考する』 平倉圭
本文もさながら注釈も面白くて、初めてこんなに一生懸命注釈を読みました。

韓国・フェミニズム・日本』 斎藤真理子責任編集
「文藝」2019年秋号の完全版として出たものです。本当は今年、韓国に行きたかったなあ、最近とても気になっています。韓国文学や文化のガイドも兼ねつつ、面白いトピックがいくつも見つかる本でした。

本山ゆかり, 作品タイトル「画用紙(レンガ)」, 素材:アクリル板にアクリル絵具, 2019年制作

聞いている音楽

家にいる時間がより長くなって以降は、Netflixで何かを流していることが多くなったので、音楽を聞くことが減ってしまったかもしれません。最近になってスチャダラパーの新しいアルバムを聴きました。

美味しかったもの

・苺は旬ですね、最高
・我が家にはトースターがないので、食パンをグリルで焼いたら美味しく焼けました。もっと早く気付けばよかった。
・タイ日清から逆輸入されたムーマナオヌードル。想像以上にライムが効いてます。本物のムーマナオは食べたことないです。

面白いできごと

玄関先で剪定したものの、外に置き忘れてグッタリした植物を、水にさして一晩経ったらピンピンに生き返りました。植物初心者なので、強さを知らなかった。些細なことすぎますね…。しかも、数日経つと新しい葉が出てきました。その葉、全然緑じゃないんですよね。日に当たってないからでしょうか。

作品制作のこと

制作は住居の一室でしています。モチーフを順次描きためているところです。
紙に収まらなかった部分は、紙自体を継ぎ足しながら描くとストレスフリーでいいですね。

本山ゆかり, 作品タイトル「Ghost in the Cloth(チューリップ)」, 素材:布、糸, 2019年制作

アーティストについて

本山さんは1992年愛知県生まれ、2017年に京都市立芸術大学大学院油画専攻を修了し、現在は京都を拠点に活動しています。

“絵画を描く/みる時に起こる膨大な出来事をひとつひとつ見るつめる作業をしています。” と本山さんはいいます。

絵画を構成する要素(絵を描くキャンバス、それを支える木枠や絵具、そして作品を展示するといった絵画の制作から発表、観賞までの一連のこと)を自明のこととせず、ばらばらに解体してみて、そこから見えてくる細かな要素を本来の意味にとらわれずに構築して、再び結晶化させたものが本山さんの作品です。

例えば、2015年から集中的に取り組んでいる「画用紙」と名付けられたシリーズでは、透明のアクリルを支持体に、デジタルモニターで多量に描かれたドローイングから選択されたモチーフが、白と黒のアクリル絵具によって描かれています。ドローイングを反転させた像をアクリルに描き、描かれたアクリル面を背面にしたまま鑑賞者へ差し向けられる作品は、いくつかの反転、地(画面)と図(描かれる対象)の同時生起、黒色の線によって記号化されたモチーフといった特徴とともに、従来の絵画の姿を越えて、様々な解釈を呼び込んでくれるようです。

また、最近では、キルティングの手法を用いて布に様々な花を刺繍して、「美しい」という称号が与えられる花(花は「美しい」という概念によって、ひとつの花の姿を超え出て、様々な場所で存在し、私たちの心理にも影響を与えるものであったりもしますし)に、「適切な身体を探し当てる」ような作品も発表しています。

展覧会情報などはこちらより。