最近の3つ(くらい) 古橋まどか

Yutaka Kikutake Galleryのアーティストたちに近況の報告日記をお願いするシリーズ。
第8回目は、現在開催中の展覧会「至るところで 心を集めよ 立っていよ」に参加されている古橋まどかさんです。
読んだ本、聞いた音楽、美味しかった食べ物、そして、作品制作のこと。それぞれ多くて3つくらい、ご紹介します。

最近読んだ本

・『東京の自然史』 増補第二版(1979年発行)貝塚爽平 紀伊国屋書店

春頃、神田の古本市で手に取った一冊です。引っ越してきたばかりで、東京について知りたいと思っていました。
移動手段をおもに徒歩とする習慣があらたにはじまり、低地、台地、坂、を意識することもしばしばでした。
川や、かつて水が流れていた場所も訪れるようになり、湧き水の注ぐ泉で、おたまじゃくしが泳いでいるのもみかけました。
蛙に変態して、巣立つのを見届けるまで、雨の日も傘をさして通ったくらいです。

・『五體字類(ごたいじるい)』 改定第四版(2014年発行)法書会 西東書房

上野の印鑑の工房でご紹介いただいた書体事典で、漢字の造作、成り立ちについて、独特な文体で解説もする一冊です(初版は1916年発行)。字の構成(つくりやへんなど)がどのようにして私たちに意味を認知させているのかが興味深く、それが概念的であったり、視覚的だったりしています。要素を集めて、総体として特定のイメージや、経験を形づくるインスタレーションと通底するような感覚で、直近では関心を寄せている物事や概念を表す漢字の部分を参照しながら制作をしています。

面白いできごと

新月の夜、蛍を見にいきました。さすがに歩いてではありません。群馬、みなかみ町の、水田のある里山です。
蛍は朽草とも呼ばれるそうで、成虫は露のみで生きているそうです。
舞う光も、どことなく幽霊をイメージさせるのですが、なぜでしょう。
関連性が気になりながら、映像を撮影したりもしました。次作の一部になる予定です。